コラム

コラム1-1)「社会保障・社会福祉110番」弁護士 阪田健夫
(福祉のひろば2004年11月号掲載)

高齢者虐待(1)

1»高齢者虐待とは

読者の皆さんは「高齢者虐待」という言葉を耳にされたことがあるでしょうか。DV(ドメスティック・バイオレンス)や児童虐待については、昨今、テレビのニュースや新聞記事で大きく取り上げられることが多くなりましたが、これに比べて「高齢者虐待」は、まだあまり広く知られていません。

しかし、国会では議員立法により高齢者虐待防止法を作ろうという動きがあり、今年、厚生労働省(医療経済研究機構)もこの問題について全国の在宅介護サービス事業所や市区町村に対するアンケート調査を行っています。

私は、今年8月に、近畿弁護士会連合会が行ったアメリカの高齢者虐待予防・救済システムの調査旅行に参加する機会を得たので、そこで見聞した内容も含めて、高齢者虐待問題に関する話題を提供したいと思います。

2»5つの類型

高齢者虐待には、(1)身体的虐待、(2)心理的虐待、(3)性的虐待、(4)経済的虐待、(5)介護・世話の放棄・放任の5類型があると言われています。

上記全国調査では、担当ケアマネージャーからの回答によれば、「心理的虐待」が認められたケースが虐待事例全体(一九九一件)の六三・六%、次いで「介護・世話の放棄・放任」が五二・四%、「身体的虐待」が五〇・〇%、「経済的虐待」が二二・四%で、最も少ない「性的虐待」が一・三%でした。

3»虐待の深刻さと自覚の低さ

上記全国調査によれば、虐待が最も深刻だった時点での高齢者の状態は、「心身の健康に悪影響がある状態」が五一・四%、「意思が無視:軽視されている状態」が三〇・八%で、「生命に関わる危険な状態」という極めて深刻なケースも一〇・九%あったとのことです。にもかかわらず、虐待をしている人が、自分が虐待をしているという自覚を持っていると認められるケースの割合はわずか二四・七%に過ぎず、自覚がないと認められるケースが五四・一%を占めているのが特徴的です。逆に言えば、虐待している自覚がないからこそ虐待内容が深刻化しているのかも知れません。

4»虐待発生の要因

虐待発生の要因として、上記全国調査では、虐待者や高齢者の性格や人格、人間関係を挙げる回答が多かったほか、「虐待者の介護疲れ」(三七・二%)、「高齢者本人の痴呆による言動の混乱」(三七・〇%)、「高齢者本人の身体的自立度の低さ」(三四・〇%)、「高齢者本人の排泄介助の困難さ」(二五・四%)等の介護負担の重さを指摘する回答が目立っています。また、「経済的困窮」(二二・四%)や「経済的利害関係」(一一・九%)、「配偶者や家族・親族の無関心」(二五・一%)なども指摘されています。

つづきは、コラム1-2へ

▲このページの上部へ
弁護士法人ライト法律事務所
弁護士:阪田健夫、西部智子、小林靖子、安村友宏
〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町21番地MG尼崎駅前ビル3階
電話 (06)6415-3110/FAX (06)6415-3114
Copyright© light-law-offices All right reserved.